自衛隊員の中皮腫・アスベスト被害(国家公務員災害)

公開日:2020年5月9日

目次

自衛隊と中皮腫・アスベスト被害

自衛隊員とアスベスト被害の関係については、広く知られているところではありません。国家公務員ということもあり、公務災害請求を進んでされない方も民間の労働者に比べて多いかもしれません。元自衛官で中皮腫に罹患された方が、公務災害として請求をされた際に「後輩がもしかしたら自分と同じ病気になんるかもしれない。だから請求をすることにしました」と伺ったことがあります。自衛隊員(防衛省)に関する被害実態について確認し、心当たりのある方は請求をご検討してみてください。

以下は、2016年12月時点の実績ですが、70名以上の方の請求があり、40名以上の認定があります。

航空自衛隊の中皮腫・アスベスト被害(基地内作業における石綿ばく露)

航空自衛隊ではこれまでに、中皮腫1、石綿肺1の公務上認定がされています。航空関係では民間部門においても、航空機のエンジンやブレーキ周辺に石綿製品が使われていました。整備作業に従事された方などに石綿ばく露の可能性が高くあったと考えられます。また、飛行機の格納庫には石綿吹き付けが使用されていた駐屯地などもありました。

海上自衛隊の中皮腫・アスベスト被害(艦艇内作業における石綿ばく露)

海上自衛隊では中皮腫19、石綿肺がん13、石綿肺1、びまん性胸膜肥厚1の公務上認定がされています。船舶関係も民間部門と同様に、船舶のエンジンルームや船内の配管に巻き付けられた石綿断熱材などが使用されていました。船内でそのような周辺で修繕作業などに従事された方に石綿ばく露の危険性が強くあった可能性があります。

陸上自衛隊の中皮腫・アスベスト被害(駐屯地内作業における石綿ばく露)

陸上自衛隊ではこれまでに、中皮腫2、石綿肺2の公務上認定がされています。陸上自衛隊では、車両を多く扱います。民間部門同様に、車両整備に従事された方などに石綿ばく露の可能性が高くあります。また、大規模災害時の派遣活動などにも参加した隊員の方もおられます。阪神淡路大震災時の復旧時に被災地で1ヶ月程度の任務にあたっていた警察官の中皮腫被害も公務災害認定されています。類似の被害を受けた方がおられる可能性もあります。

防衛医科大学校の中皮腫被害

防衛医科大学学校ではこれまでに悪性中皮腫(胸膜・腹膜)1の公務上認定がされています。防衛医科大学校の被害については、詳しい情報を得られていません。

自衛隊全体に通じる建物アスベスト問題

航空自衛隊の被害状況を記載した際にも触れましたが、格納庫以外にも自衛隊関連施設では射撃場や武器庫などで石綿吹き付けが使用されていた駐屯地もあります。また、官舎(他省庁保有の官舎含む)にも石綿吹付材が使用されており、家族も含めてそのような環境下で居住されていた例もあります。