2021年5月、切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫に対して、免疫チェックポイント阻害剤である、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)とヤーボイ(一般名:イピリムマブ)の併用療法が承認されて以来、悪性胸膜中皮腫におけるファーストライン(一次治療)として、オプジーボとヤーボイの併用療法を選択する患者さんが増えています。ここでは、最新の標準治療である、オプジーボとヤーボイの併用療法の説明と注意すべき副作用に触れています。
オプジーボ・ヤーボイ併用療法とは、2種類の免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせることによって、がん細胞に対する攻撃力を高める治療方法です。
オプジーボ・ヤーボイ併用療法の効果とは、オプジーボとヤーボイは、T細胞にかけられた免疫のブレーキを解除する働きがある「免疫チェックポイント阻害薬」です。
オプジーボは「PD-1」、ヤーボイは「CTLA-4」と呼ばれるT細胞のアンテナにそれぞれ結びつくことで、抑制信号をブロックし、免疫のブレーキを外します。これによってT細胞は、妨害を受けることなく、再びがん細胞を攻撃できるようになります。
オプジーボ・ヤーボイ併用療法は、2種類の免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせることで、がんに対する攻撃力をさらに高め、より効果的な治療を行うために用いられます。
オプジーボ・ヤーボイ併用療法の対象となる方は、手術が難しい患者さん、または再発をした悪性胸膜中皮腫の患者さんのうち、これまでにアリムタ・シスプラチンの化学療法を受けたことがない患者さんが対象です。
治療の進め方は、オプジーボを2週間または3週間ごとに1回投与し(点滴)、ヤーボイは6週間に1回投与(点滴)していきます。
オプジーボとヤーボイによる治療中は、副作用が現れることがあります。まれに重篤な副作用も現れるので注意が必要です。
オプジーボとヤーボイによる特に注意すべき副作用
・間質性肺炎・重症筋無力症・心筋炎・筋炎・横紋筋融解症・大腸炎・小腸炎・重度の下痢・消化管穿孔・1型糖尿病(劇症1型糖尿病を含む)・重篤じゅうとくな血液障害・劇症肝炎・肝不全・肝機能障害・肝炎・硬化性胆管炎・甲状腺機能障害・下垂体機能障害・神経障害・腎障害・副腎障害・脳炎・重度の皮膚障害・静脈血栓塞栓症・薬剤の注入に伴う反応・血球貪食症候群・結核・膵炎・重度の胃炎 詳しい内容はこちら
参考資料
小野薬品工業株式会社
オプジーボとヤーボイの併用療法 「切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」への適応拡大に対する製造販売承認事項一部変更承認を取得