更新日:2021年7月2日
公開日:2019年1月6日
目次
中皮腫サポートキャラバン隊の結成
2021年3月、中皮腫サポートキャラバン隊は特定非営利活動法人(NPO)として新たなスタートを切りました。
キャラバン隊の誕生は、2017年5月まで遡ります。それは、くりちゃんこと栗田英司とみぎちゃんこと右田孝雄、この2人の出会いから始まりました。当時くりちゃんは腹膜中皮腫17年目の中皮腫患者では一番の長期生存者でした。
『中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会』が2004年に発足し、くりちゃんは当初からの会員ですが、省庁交渉や患者会の集まりにおいて「患者は長生きできないんだ」と悲痛な遺族の叫びに、自分はこの場にいてはいけないんだと察しました。そして、2007年頃から幽霊会員として籍だけ入っていました。2015年当時の事務局長が「腹膜中皮腫の患者さんと会って話をしてもらえませんか?」と誘いを受け、久しぶりに患者会に参加しました。そこでその患者さんに「希望の星だ」といわれ、これからの会や中皮腫患者のために何かできることはないかと考えるようになりました。
2017年になり、患者と家族の会の協力のもと全国にいる長期生存者へのインタビューを決行し、中皮腫患者に役立つ書籍、ポータルサイト作成をしようと立ち上がりました。
一方、みぎちゃんは16年7月に胸膜中皮腫を発症し、主治医から「余命2年」と宣告されました。どん底の心境ながら何か救ってくれる道はないかとネットを検索していても、予後の悪いことばかりしか載っていませんでした。そこでたまたま『中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会』の連絡先を見つけて連絡するも、見当違いの回答が返ってきて「私には交わることのない場所だ」と当時決め付け、ブログで情報を得ることにしました。その翌年の5月、ブログで同じ患者同士が集まり情報共有の場ができました。それが『中皮腫・同志の会』です。
みぎちゃんがブログで第一回『中皮腫・同志の会』の開催を呼び掛けた時、くりちゃんが彼のブログにアクセスし、2人はここで初めて出会いました。早速くりちゃんがみぎちゃんの自宅に出向き、お互いあまりにも中皮腫の情報が少ないこと、中皮腫の情報はあっても予後が悪く治療法も極めて少ないことから、中皮腫患者にとって前向きになれない状況にあるということを確認し合いました。そして、くりちゃんがみぎちゃんに「『中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会』はそんなに悪いところじゃないよ」と伝え、2人で2017年7月省庁交渉に出向くことになりました。そこでみぎちゃんが見た光景は、活動家や遺族が患者に成り代わって大声で患者の悲痛な叫びを訴える姿でした。
それを見た彼らは、「長期生存している患者、元気な患者を全国飛び回って探し、インタビューをして明るく元気に前を向いて生きている患者の闘病記を作って、全国の中皮腫患者を励まそう。そして、どうせ全国に赴くのであれば、その地域の支部の方や患者さんと交流しよう」という志を持って『中皮腫サポートキャラバン隊』を結成しました。
『中皮腫サポートキャラバン隊』結成にあたり、2人が掲げた目標でもある『7本の矢』というものがあります。
(1)中皮腫希望の体験記の作成
(2)中皮腫ポータルサイトの作成
(3)中皮腫サポートキャラバン隊の実行
(4)標準治療確立のための仕組み作り
(5)中皮腫フェスタの開催
(6)アスベスト情報センターの設立の検討
(7)省庁交渉(中皮腫患者100人集会)
これらの目標を持って、そして、次々と元気な中皮腫患者さんをキャラバン隊に迎えて、活動の幅を広げていってます。
中皮腫サポートキャラバン隊の今後
2021年3月8日、大阪市によって特定非営利活動法人(NPO)としての認証を受けました。基本的な活動方針についてはかわりませんが、引き続き次のような方針で活動を展開していきます。
活動のコンセプト
中皮腫患者と家族が希望を持って安心して生活できることを目指して
中皮腫患者への新薬や新たな治療法の開発、患者と家族のQOLの向上を目指して活動していきます。
3つのミッション
中皮腫の治療法の確立
- 中皮腫の新たな治療法、新薬の開発の支援をする。
- 治験等の臨床研究には積極的に協力する。
- 医師が新薬を臨床研究できる環境作りを支援する。
- 承認要請された新薬には積極的に早期承認の要請をする。
ピアサポートネットワーク構築の推進
- 全国の中皮腫患者、ご家族と交流を図る。
- 中皮腫ポータルサイト「みぎくりハウス」により有用な情報を積極的に更新する。
- 中皮腫ZOOMサロンの定期的な開催。
- 積極的に講演会、セミナーを実施する。
石綿健康被害救済制度の改正
- 石綿健康被害救済基金から新たな治療法の研究を。
- 石綿健康被害救済金の増額を目指す。
ミッション達成のキーワード
私たちの役割は、患者さんを同じ同志である患者さんや医療関係者をはじめ、人的・医療的・社会的な資源につなげることにあります。今後も、適時かつ適切な情報提供に努めて、患者さんとご家族が安心して生活できる環境づくりを目指していきます。