北海道でのピアサポート活動が十勝毎日新聞に掲載されました!

【写真】(左から)右田理事長、坂田さん、影山さんと親交を深める「りょーこ」さん(手前)
「普通に生きられるってすごい」 希少がん中皮腫の「りょーこ」さん 闘病の日常をブログに

今年7月、がんの一つ、中皮腫と診断された「りょーこ」さん(37)=十勝管内在住。家族や親友と過ごす時間や支援団体との懇談など、闘病の様子を含めた日常生活について、ブログで発信し続けている。「日々のことを記録として残したい」。新たな縁ができることへの感謝、何気ない毎日を過ごせることへの喜びなどを感じさせる書き込みの数々が、読者らの共感を呼んでいる。

 夫と小学生の子ども2人と暮らすりょーこさん。「6月くらいから(高熱、胸や背中の痛み、息が急にできなくなるなど)ずーっと具合が悪い」状態が続き、7月に「悪性胸膜中皮腫(肉腫型)ステージ3」と診断された。余命宣告も受けたが、免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボとヤーボイ併用療法)の効果もあり、現在は自宅で過ごす。

 「10万人に6人以下の希少がんになってしまい、日々のことを記録として残したい」。りょーこさんはブログ「37歳 悪性胸膜中皮腫(肉腫型)ステージ3 余命1年~1年半と宣告された私の闘病記録」を開設。治療の様子だけでなく、紅葉狩りや美容室に行ったことなど、前向きに過ごす日々の生活なども記す。

 りょーこさんのブログは、「ミギえもん」の名前で同じく日常をブログに記す、NPO法人・中皮腫サポートキャラバン隊(MSC)の右田孝雄理事長(58)の目にも留まった。

 大阪府在住の右田理事長は、2016年7月に悪性胸膜中皮腫と診断された。同じ病気と闘う人たちが体験や情報などをブログで共有する。家族や友人のような親密さはないが、他人のような疎遠ではない距離感「2・5人称」の関係となったことで、10月4日には右田理事長、悪性胸膜中皮腫で夫を失った後も同法人で女性患者や家族ケアを担当する影山小百合さん(60)、りょーこさんと年齢が近い悪性胸膜・腹膜中皮腫患者の坂田恵三さん(41)のMSCメンバー3人が来帯した。

 りょーこさんとメンバーは帯広市内のカフェで、スイーツを堪能しながら談笑。経験を踏まえた支援や相談に乗る「ピアサポート」を中心に活動する右田理事長らは、治療法が着実に進み、患者の生活の質(QOL)向上につながっている現状も説明。日進月歩の医療に希望も見いだしながら、明るく現在を楽しんでいる3人に、りょーこさんの表情も自然と崩れた。

 りょーこさんは、「中皮腫患者が多い」とされる建設現場での勤務経験は全くない。考えられるのは、アスベストを「どこかの場所で吸い込んでしまった」環境暴露だ。「(環境暴露は)誰もが受けている可能性もある」とも訴える。

 「なんでこんな病気になっちゃったんだろう。なんで私だけ…」と思う時もあったが、「病気になったことで出会った3人と楽しい時間を過ごしたことで、前を向く勇気も改めてもらった」。

 10月4日のブログには「夢のような一日」のタイトルで、この日の出会いをつづった。「普通に生きられる…ってすごい。子どもとの時間、家族の時間、友達との時間。今まで以上に、大切にしていきたいと思えるようになったことは、本当によかった」と。

 りょーこさんのブログは、2~3日ごとに更新されている。(松岡秀宜)

【承認番号】1198号