公開日:2021年1月1日
更新日:2023年5月22日
監修者:岡部 和倫 医師(ベルランド総合病院呼吸器腫瘍外科部長)「 Q&Aを参考にされ、各分野の経験豊富な専門家にご相談されることをお勧めします。 」
大分医科大(現大分大医学部)卒業後、岡山大医学部附属病院を経て渡米。ハーバード大学の主要教育病院において、胸膜中皮腫外科医療の権威であるシュガーベイカー医師のもと最先端の診療を学び、約1000件の手術を経て技術習得して帰国。山口宇部医療センターなどを経て現職。Best Doctors in Japanに認定されている。特定非営利活動法人日本肺癌学会胸膜中皮腫小委員会(2020年)委員。
中皮腫のステージ
中皮腫のステージはどのように決まるの?
中皮腫では、胸膜中皮腫のみ病期分類が決定されています。(腹膜・心膜・精巣鞘膜の病期分類はまだ決められていません) I 期 片側の胸膜 にのみがんがある(リンパ節転移や離れた臓器への転移がない) Ia期:外側の胸膜(壁側胸膜:へきそくきょうまく)にのみがんがある Ib期:内側の胸膜(臓側胸膜:ぞうそくきょうまく)にがんが広がっている II 期 片側の胸膜にのみがんがあり、横隔膜の筋層や肺に広がっている(リンパ節転移や離れた臓器への転移がない) III期 同側のすべての胸膜ががんに侵され、周囲に広がっている状態であるが、手術治療の可能性が残されている。がんのある側のリンパ節に転移があるが、胸腔外には転移していない状態 IV期 がんが胸壁、縦隔、横隔膜下などに広がり、切除することができない状態まで広がっている。反対側のリンパ節や胸腔外に転移している
詳細は「
みぎくりハウス(中皮腫とは〜原因・症状・診断・治療・予後・生存率・セカンドオピニオン | 中皮腫サポートキャラバン隊 | 患者の体験 | 治療と治験 (asbesto.jp)」に記載されていますので、確認してみてください。
中皮腫の胸水/腹水
中皮腫の病院/医療機関
中皮腫と診断されたらどのような病院にかかればよいの?
基本的には中皮腫の治療実績がある病院を選ぶことが大切です。治療実績とは、どれだけ多くの患者さんを診ているのかの他、抗がん剤の治療実績、手術の回数実績などです。特に手術を考えている場合は実績のある病院を選びたいところです。また治験参加を考えている場合など、治験をしている病院も限られています。お住いの近くに上記該当する病院がない場合は、国が指定したがん診療連携拠点病院(都道府県がん診療連携拠点病院、地域がん診療連携拠点病院)、地域がん診療病院、特定領域がん診療連携拠点病院が全国に402か所ありますのでその中からお近くの病院を探すことも可能です。
「がんは治ります」とか「がんが消えた」などと宣伝しているクリニックなどは、ほぼ全てトンデモ医療(とんでもクリニック)です。くれぐれもご注意ください。
(参照)
中皮腫の病院情報(みぎくりハウス)近くの近道 VOL.2-正しいがん情報へのアクセスのヒント-どのような医療を選べばよいか?(みぎくりハウス)厚生労働省・がん診療連携拠点病院等中皮腫の手術
胸膜切除/肺剥皮術(P/D)ってどんな手術?
壁側胸膜および臓側胸膜を切除し、横隔膜や心膜や肺を温存する術式です。全身状態や心肺機能がやや低下している方にも実施できますが、肺への影響を考慮して術後の放射線治療はできません(国外での報告例はありますが、慎重な意見が強くあります)。 (参照)
胸膜中皮腫診療ガイドライン2020年版胸膜肺全摘術(EPP)と胸膜切除/肺剥皮術(P/D)、どちらが良いの?
『胸膜中皮腫診療ガイドライン2022年版』では、胸膜肺全摘術(EPP)と胸膜切除/肺剝皮術(P/D)いずれかの術式選択に関しては,
「a.耐術能のある切除可能中皮腫には,術式として胸膜切除/肺剝皮術(P/D)が勧められるか?」については「a.耐術能のある切除可能中皮腫には,術式として胸膜切除/肺剝皮術(P/D)を行うことを推奨する。〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:B,合意率:65%〕」
「b.耐術能のある切除可能中皮腫には,術式として胸膜肺全摘術(EPP)が勧められるか?」については「b.耐術能のある切除可能中皮腫には,術式として胸膜肺全摘術(EPP)を行うことを提案する。〔推奨の強さ:2,エビデンスの強さ:B,合意率:65%〕」
としています。
なお型別では肉腫型中皮腫には「外科治療を行わないことを提案する」としており、二相型中皮腫には「外科治療を行うことを提案する」としています。
いずれにしても、手術を検討される際には、中皮腫手術経験が豊富な医療機関でのセカンドオピニオンを参考にされることを勧めます。
(参照)
胸膜中皮腫診療ガイドライン2022年版 悪性胸膜中皮腫 外科治療腹膜中皮腫の手術について
腹膜中皮腫では、手術による治療効果は限定的とされる意見がある一方で、手術実績を公表している医療機関もあります。また、『みぎくりハウス』へ投稿されている体験記も参考にしてください。欧米の報告において、上皮型や播種病変が限局しているケースにおいて、腫瘍減量手術・腹腔内化学療法・温熱化学療法の併用治療で効果が高いとするものもありますが、化学療法単独治療との比較での優位性についてはわかっていません。また、複雑な治療法であるために多くの病院で治療ができるわけではない点も考慮する必要があります。
(参照)
みぎくりハウス 中皮腫の病院情報みぎくりハウス 中皮腫患者の体験談心膜中皮腫の手術について
心膜中皮腫では、腫瘍が心膜の一部に限局されている場合でも、手術は極めて困難とされています。また、完全切除の報告事例もほとんどありません。中には、限局性病変での完全切除症例における長期生存報告もありますが、限局性と考えられた症例の切除後に断端陽性で化学療法も効果が無かった症例もみられ、手術適応については慎重な検討が求められます。心タンポナーデの状態(心臓を包んでいる心膜の中に体液や血液が貯留し、心臓が圧迫されること)では、心臓の負担軽減を意図して心囊液を体外へ排出するためにドレーンを使用したり、心膜癒着術・心膜開窓術が実施されることもあります。
(参照)
みぎくりハウス 中皮腫治療における手術精巣鞘膜中皮腫の手術について
精巣鞘膜中皮腫では、腫瘍の完全切除が可能と判断できれば手術が検討されます。具体的には、腫瘍が限局している場合には「高位精巣摘除術」での完全切除を目指します。術後、腫瘍が残存している可能性がある場合は補助療法が必要で、化学療法よりも補助放射線療法が有効と結論づけている報告も見られます。
(参照)
みぎくりハウス 中皮腫治療における手術中皮腫の放射線治療
放射線治療はどのようなときに有効か?
『中皮腫診療ガイドライン2022年版』では「胸膜肺全摘術(EPP)の術後に片側胸郭照射を行うよう提案する」としています。
「胸膜切除/肺剝皮術(P/D)の術後または手術非適応症例に放射線治療は行わないよう提案する」としています。
疼痛緩和目的での放射線治療は「推奨する」としています。
(参照)
胸膜中皮腫診療ガイドライン2022年版 放射線治療、
緩和治療放射線治療にはどのような副作用があるか?
副作用は主として放射線が照射された部位に起こります。主なものは、放射線治療中や終わりごろから症状が強くなる放射線による特殊な肺炎、食道炎、皮膚炎です。肺炎の初期症状は、咳や痰(たん)の増加、微熱、息切れです。食道炎では固形物の通りが悪くなり、胸やけや痛みを伴うこともあります。症状が強いときには放射線治療を延期・中止し、痛みがある場合は食事・飲水制限を行い、鎮痛薬の服用や栄養剤の点滴で対処します。また、全身の副作用としては、だるさ、食欲低下、白血球の減少などがあり、個人によって程度が異なります。症状が強い場合は、症状を和らげる治療をしますが、通常は、治療後2週から4週ぐらいで改善します。
(参照)
放射線治療の実際(がん情報サービス)中皮腫の抗がん剤/副作用
抗がん剤は毒なの?
抗がん剤は元来、がんの寛解、縮小、または延命するために行います。標準治療として認められた抗がん剤は、臨床試験によりエビデンスを持ってそれを実証しています。副作用には、治療直後にあらわれるアレルギー反応や、治療から1~2週間程度の期間にみられる吐き気や食欲低下、だるさ、口内炎、下痢などの症状の他、2週間以降からみられる脱毛や手足のしびれ、皮膚の異常(色素沈着や乾燥など)など、症状が出てくる時期がある程度一定しています。抗がん剤を適切に使用すれば、『毒』にはなりません。
(参照)
副作用(がん情報サービス)抗がん剤の副作用が怖い!特に注意すべきことは?
抗がん剤の種類によりその効果や副作用は異なります。中には治療後のQOLに影響するものもあります。また、食事や他の薬、すでにお持ちの基礎疾患の影響も受けることがあるため、治療を始める前に十分な確認が必要です。使用する薬については、医師や薬剤師などから説明を受けてください。
(参照)
薬物療法 まず、知っておきたいこと(がん情報サービス)頭髪はどのくらい抜けるの?
見た目の変化による悩みの一つとして、脱毛があります。脱毛は抗がん剤の組合せ方、使う量や期間などによっても、脱毛の程度は変わります。シスプラチンの脱毛は10~50%ですが、個人差もあります。「抗がん剤=脱毛」と焦らず、担当医や看護師に「どれく らい脱毛するのか?」を確認するのも良いでしょう。
(参照)
治療による見た目の変化にお悩みの方へ(東大病院外見ケアワーキンググループ)骨髄抑制って何ですか?
骨髄は骨の中心にある組織で、白血球・赤血球・血小板などの血液の成分をつくっています。骨髄にある細胞が、がん治療でダメージを受けると、これらの血液成分をつくり出す働きが正常に機能しなくなります。この副作用のことを骨髄抑制といいます。骨髄抑制は、抗がん剤の副作用より遅れて発生します。食欲不振、吐き気・嘔吐などが治まった頃、つまり1~2週間後から白血球減少や貧血、口内炎といった骨髄抑制による遅発性の副作用が発生することがあります。
(参照)
国立がん研究センター 小児がん情報サービス』 『骨髄抑制(がん情報サービス)骨髄抑制が起きた時には、何に注意すべきか?
抗がん剤等の影響で骨髄機能が障害され、白血球の数が少なくなると、病原菌(細菌)に対する体の抵抗力が弱くなり、いろいろな部位(口、肺、皮膚、尿路、腸、肛門、性器など)で感染症を起こす可能性があります。ときには、菌血症、敗血症などの全身の感染症を引き起こすことがあります。38℃以上の発熱、寒気、ふるえ、せき、のどの痛み、歯肉痛、虫歯、口内炎、下痢、腹痛、肛門痛、排尿時の痛み、血尿、頻尿、排尿後も尿が残る感じ、皮膚の発疹(ほっしん)、発赤(ほっせき)などが骨髄抑制による感染症が疑われる症状です。
骨髄抑制による感染症の対策としては、血液検査(白血球数、好中球数、ヘモグロビン、血小板数)、白血球を増やすための薬の投与、抗生物質の投与があります。38℃以上の発熱、寒気、ふるえを感じたとき、発熱に伴って、せき、下痢、排尿時の痛みや排尿後も尿が残る感じ、性器痛、肛門痛などの感染の症状があらわれるようでしたら、早めに医療スタッフに知らせましょう。
(参照)
骨髄抑制(がん情報サービス)抗がん剤(従来の抗がん剤治療薬)・分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬はどう違うか?
抗がん薬は、細胞の増殖の仕組みに着目して、その仕組みの一部を邪魔することでがん細胞を攻撃する薬です。がん以外の正常に増殖している細胞も影響を受けます。一般的に点滴で治療します。 分子標的薬は、がん細胞の増殖に関わるタンパク質や、栄養を運ぶ血管、がんを攻撃する免疫に関わるタンパク質などを標的にしてがんを攻撃する薬で「小分子化合物」と「抗体薬」の2つの種類があります。中皮腫に有効なものは現在ありません。 免疫チェックポイント阻害剤は、抗体薬であり、この薬を使う治療は「免疫療法」でもあります。点滴で治療します。体の中には、異物の侵入を防いだり、侵入してきた異物を排除したりして、体を守る抵抗力を備えた「免疫細胞」があります。がん細胞の中には、免疫細胞と結合することによって、免疫細胞にブレーキをかけ、その攻撃から逃れる仕組みをもっているものがあります。このような、がん細胞と免疫細胞の結合を“免疫チェックポイント”といいます。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞と免疫細胞が結合できないように邪魔をすることで、免疫細胞にかけられたブレーキを外して、自分の免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにする薬です。
(参照)
薬物療法 もっと詳しく(がん情報サービス)ケモブレインとは何ですか?
抗がん剤の治療中やその後に生じる記憶・思考・集中などの力が一時的に低下する症状を指します。例えば、言いたい言葉がすぐに出てこない、何かに集中することができない、頭のモヤモヤなどの症状です。しかし、原因や対処法についてわかっていません。化学療法の副作用の可能性だけでなく、がんそのものから影響している可能性や手術時の麻酔などの可能性もあります。症状の軽減には、頭の体操、スケジュール管理やメモの活用、規則正しい生活リズムのつくるための運動・食事・休息、静かな環境での療養、主治医をはじめとする医療者への症状の伝達による専門的ケア、が考えられます。
(参照)
聖路加国際病院 これから抗がん剤治療をおこなう方へケモブレインの謎を解く維持療法とは何ですか?
がんの再発防止、進行予防のために行われる抗がん剤治療です。最初の治療で使用した薬のうち、副作用が少なく効果が大きかった薬を休薬期間を置かずに可能な限り投与し続けることで、がんの再発、悪化を防ぎます。
(参照)
維持療法(がん情報サイト・オンコロ)リチャレンジとは何ですか?
以前投薬したことのある抗がん剤を再度投薬することです。抗がん剤を投薬中に免疫チェックポイント阻害剤に切り替えた後、効果がないと判断した時、再度抗がん剤を投薬することなどがあります。
中皮腫の免疫療法/オプジーボ
免疫療法は有効なの?
自分の免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です。人間の身体は免疫の力によって、がん細胞を排除しています。そのがん細胞を排除するのがT細胞ですが、そのT細胞が弱まっていたり、がん細胞によってT細胞にブレーキをかけることにより、その機能が弱まります。その機能を保つことなどにより、免疫本来の力を利用してがんを攻撃することができます。 現在、中皮腫の中では胸膜中皮腫(がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発した)にのみ、免疫チェックポイント阻害剤のニボルマブ(オプジーボ)が承認されています。免疫療法を謳った治療(NK細胞療法や樹状細胞ワクチン等)については、エビデンスはなく、保険適用外で、治療の効果は確かめられていません。
(参照)
免疫療法 もっと詳しく知りたい人へ(がん情報サービス)免疫療法はどこで受けられるの?
現在、保険医療の承認を受けているのは、「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫に対するニボルマブ(商品名オプジーボ)」(二次治療)、「手術不能または再発の胸膜中皮腫に対するニボルマブ(商品名オプジーボ)とイピリムマブ(商品名ヤーボイ)の併用療法」(一次治療)です。
それ以外の保険適用外処方をするクリニックはお勧めできません。
(参照)
免疫療法 もっと詳しく知りたい人へ(がん情報サービス)中皮腫のガイドライン
標準治療とは
標準治療が効かなくなったら、保険で治療できないの?
主治医とのコミュニケーション
主治医とのコミュニケーションはどうすればよいの?
主治医とは、患者さんの病気の治療全体に対して責任を持つ医師のことです。複数の病気で、複数の病院・診療科を受診している場合は、複数の主治医を持つケースもあります。主治医は、あなたの病状についてもっとも多くの情報を持っている医療者ですので、中皮腫の治療に責任を持つ主治医と良好なコミュニケーションを取り、自身が納得のできる治療方針を、主治医とともに作り上げていくことが重要です。主治医との面談の際に疑問点や不安なことについて質問するときの例文や、よくある質問の説明をまとめた冊子(「重要な面談にのぞまれる患者さんとご家族へ-聞きたいことをきちんと聞くために-」)が、「国立がん研究センター がん情報サービス」のホームページにあります。活用してみてください。
(参照)
冊子「重要な面談にのぞまれる患者さんとご家族へ」国立がん研究センターがん情報サービス(ganjoho.jp)主治医が病気の状態を説明してくれない!
主治医は診察の際には、病状の診断、治療方法の決定に加え、カルテの記入等作業が多く、患者との十分なコミュニケーションが取れないケースがあるようです。更に、医師として伝えたいことと、患者として知りたいことにギャップがあることも、患者が知りたいことを医師が説明してくれないと患者が考える原因のひとつのようです。また、詳しい説明をしても患者が理解できないだろうと考え、簡単な説明で済ますこともあるようです。また、中皮腫が希少がんであるということもあり、一部には担当した主治医が知識・経験の足りない医師であったり、コミュニケーションが苦手な医師が主治医になるケースもあると思います。 このような、医師との認識ギャップや、医師側のコミュニケーションスキル不足を埋めるためには、知りたいことを簡潔な文章にしてメモで渡す、ないしは事前に手紙で送って読んでおいてもらう事も有効なようです。診察時間は限られているので、質問メモは一回の診察で二、三点くらいにしておくと、主治医から適切な回答が得られると思います。 (参照)
NPO法人宮崎がん共同勉強会理事長 押川勝太郎医師 談話 『主治医の説明の違和感を解消する方法・旅先#103(YouTube)』セカンドオピニオンについて
セカンドオピニオンとは何?
がんの診療や治療では、患者や家族が正しい情報に基づいて担当医と十分に話し合い、納得して治療を受けることがとても大切です。しかし、担当医と十分な話し合いを行っていたとしても、「別の医師の話を聞いてみたい」と思うことがあるかもしれません。 診断や治療選択などについて、現在診療を受けている担当医とは別に、違う医療機関の医師に求める「第2の意見」をセカンドオピニオンといいます。セカンドオピニオンは、今後も現在の担当医のもとで治療を受けることを前提に利用するもので、「セカンドオピニオンを聞くこと=転院すること」ではありません。なお、セカンドオピニオンは保険適用外で、60分を限度として、2万円から4万円程度です。
(参照)
セカンドオピニオン〔国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ〕(ganjoho.jp)セカンドオピニオンはどういう時に行うの?
以下のような時に行うのが代表的な例です。
- がんと診断された。担当医から説明を受けたが、診断について別の医師の意見を聞きたい。
- がんと診断され、治療選択について説明を受けたが、決められない。
- 担当医の話に納得のいかない部分がある。
- 担当医の意見を別の角度から検討したい。
- 再発の診断を受けたが、担当医が提示する以外にも治療の選択肢がないかを知りたい。
(参照)
セカンドオピニオン〔国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ〕(ganjoho.jp)
セカンドオピニオンを行う手順は?
セカンドオピニオンを聞く際の流れは以下の通りです。
1)現在の担当医の意見を良く理解する。
↓
セカンドオピニオンを受けることを決める
↓
2)病院を決める
(1)病院を探す
(2)現在の担当医に伝える
↓
3)受診の準備をする
(1)病院へ連絡する
(2)現在の担当医に紹介状などをもらう
↓
4)セカンドオピニオンを聞く(当日)
(1)医師に伝えたいこと、聞きたいことを整理しておく
(2)信頼できる人に同行してもらう
↓
5)セカンドオピニオン後、現在の担当医に報告する
(参照)
セカンドオピニオン〔国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ〕(ganjoho.jp)
主治医やセカンドオピニオン面談の際に、どのように医師に聞いてよいかわからない?
主治医に関する質問の部分でも取り上げましたが、「国立がん研究センター がん情報サービス」のホームページには、医師との面談の際にどのような質問をしたら良いのかということをまとめた冊子「重要な面談にのぞまれる患者さんとご家族へ-聞きたいことをきちんと聞くために-」があり、見ることができます。通常の診察の場や、セカンドオピニオンを行う際の質問をまとめるためも活用できます。ぜひ参考にしてください。 (参照)
冊子「重要な面談にのぞまれる患者さんとご家族へ」国立がん研究センターがん情報サービス(ganjoho.jp)
セカンドオピニオンで良い治療法が探せるの?
セカンドオピニオンは、現在の主治医での治療を前提としていることは、「Q:セカンドオピニオンとは?」の回答で示した通りです。
一方で、中皮腫は希少がんであることもあり、医師や医療機関の経験値で診療内容が異なったり、より良い治療方法を提示してもらえることもあります。このため、現在の主治医と十分なコミュニケーションを行ったうえで、経験豊富な医師・医療機関でのセカンドオピニオンは有効であると考えます。この内容については、「みぎくりハウス」内に記載されているので確認してください。 一方で、まれなケースですが、自分の考えに合うセカンドオピニオンを受け取るまで、セカンドオピニオンを受け続けるような場合もあるようです。「Q:セカンドオピニオンを始めるに当たって重要なことは?」の回答でも記載した通り、セカンドオピニオンをなぜ聞きたいのか、自分自身の気持ちを整理したうえで、セカンドオピニオンに向かうことが重要です。
(参照)
みぎくりハウス『中皮腫とは〜原因・症状・診断・治療・予後・生存率・セカンドオピニオン | 中皮腫サポートキャラバン隊 | 患者の体験 | 治療と治験 (asbesto.jp)』チーム医療/カンファレンス
カンファレンスとは何ですか?
治療に当たっては、検査結果・画像診断・診断をもとに、病院内で主治医と他の医師や薬剤師などの医療者を含めた治療方針決定のための打合せ(これをカンファレンスと呼びます)を行ったうえで、患者と面談しているケースがほとんどです。 このため、診断・治療に当たっての、治療方針は主治医の恣意的な意見でないことを理解しましょう。
がん相談支援センター/メディカルソーシャルワーカー(MSW)
メディカルソーシャルワーカー(MSW)とは何ですか?
社会福祉の立場から、患者さんやその御家族の方の抱える心理・社会的な問題の解決・調整を援助して社会復帰の促進を図る専門職です。また、介護保険、障害年金、障害者手帳などの各種社会保障制度の紹介と申請の援助をするのもメディカルソーシャルワーカーの仕事です。中皮腫の場合は、労災保険や石綿健康被害救済制度の申請のサポートをすることもあります。
(参照)
医師等とのコミュニケーション(みぎくりハウス)エビデンス
エビデンスがなくても、効く治療法があれば受けたい!
中皮腫の再発/(遠隔)転移について
中皮腫の臨床試験(治験)について
治験とは何ですか?
治験とは、「新しい薬」や「新しい薬の使い方」の効果や副作用を確かめる試験のことになります。あくまで「新しい薬」や「新しい薬の使い方」の効果や副作用を確かめることが目的で、最新の治療が受けられるわけではありません。
治験とは実際にどんなことをするの?
ごくおおまかに言いますと、
(1)治験は治療であり、実験でもある。
(2)メリットもあればデメリットもある。
(3)今の患者さんのためでもあり、未来の患者さんのためでもある 。
(4)新しい薬だからと言って、効くとは限らない 治験は3つのステップ、階段を経ることになります。
・第Ⅰ相試験 薬の副作用や代謝経路、どの容量が最適か確かめるステップ。
・第Ⅱ相試験 最適な容量で、どの程度効果があるか確かめるステップ。
・第Ⅲ相試験 既存の治療と新しい薬、どちらが本当に役に立つか確かめるステップ。
ということになります。詳しくは、
中皮腫オンラインセミナー:中皮腫治療と「治験」の本当の話講演録(みぎくりハウス)
を参考にしてみてください。
中皮腫の緩和ケア(緩和療法)/痛みについて
痛いが、麻薬は使いたくない!
痛みはつらいものです。痛みのコントロールには鎮痛薬は主要な手段です。一方、鎮痛薬については「できるだけ少ない量で我慢したほうがよい」「麻薬系の鎮痛薬を使うと依存症になる」などと誤解している人もいます。しかし、麻薬の成分は、痛みがある状態で使うと、痛みにのみ働き、精神や身体の依存を引き起こすことはないので、使い続けることで依存症を起こすようなことはありません。薬を使って痛みを抑えることは、がんの治療を継続する助けになります。心配な点や疑問な点は、主治医に相談しましょう。主治医に相談しにくい、理解してくれないと感じるときは、担当の薬剤師や看護師にも相談できます。また、緩和ケア外来、院内のペインクリニックも利用することができます。
(参照)
近くの近道 VOL.4-正しいがん情報へのアクセスのヒント-「緩和ケア」と「医療用麻薬」(みぎくりハウス)国立がん研究センター情報サービス用語集・緩和ケア余命/告知について
余命について
中皮腫に限らず、がんになった患者さんは、ほとんどといってよいほど余命を気にします。なかには主治医から余命を告げられショックを受ける患者さんもいることと思います。 しかし、がんの余命宣告の場合多く使われているのは、がん種毎の、時間と生存者の割合を示すグラフ(カプラン・マイヤー曲線)から、50%の方が亡くなる年月を推定して、仮の余命として伝えているのが一般的です。当然それより長く生きている方もおり、それぞれの個人にあてはまるものではありません。医師としては治療の厳しさを伝えるために、余命を示しているケースも多いようです。一人ひとりに対しては、最終末期を除いて余命は全く当たらないと断言する医療者が多いのはこのためです。 仮に余命宣告をされても、それを過度に気にすることなく、前向きな治療と有意義な時間の過ごし方に注力するのが、より良い受け止め方だと思います。
余命を知りたい!主治医に余命を聞くべきか?
前述の「主治医から余命を告げられショックを受けた!」の回答の通り、一人ひとりに対して医師・医療者が正確な余命を提示するのは不可能です。その点では余命は聞いても意味がないというのが正解だと思います。特に、余命に対しては、正確な知識を持たず、また冷静に受け止められる状態にないときに、主治医に余命をたずねるのは、かえって有害なことが多いと思います。最終末期を除いて、余命が当たらないというのはすでに述べた通りです。
これらのことを踏まえたうえで、一般的ながんの状態別の生存曲線を知りたい場合は、全国がんセンター協議会による「全がん協生存率kapweb はじめに (chiba-cancer-registry.org) 」にて確認できます。繰り返しになりますが、このデータを見るには、上記の知識や心構えが前提であることを認識して利用してください。また、このデータは2012年までの、やや古いデータに基づいて計算されています。その後、使用可能となった治療法は含まれていないものであることも付記しておきます。
(参照)
全国がんセンター協議会・全がん協生存率調査本人に病名や予後等は告知すべきか?
本人が治療にしっかりと取り組めるようにするためにも、病名・病状や予後等は正確に本人に伝えることが原則です。ただ、患者の状況、それを取り巻く家族等の状況はそれぞれです。このため、本人への伝え方、タイミングの工夫などが必要となることもあると思います。
告知する場合としない場合のメリットとデメリットには、具体的にどのようなことがありますか?
ケースによって異なりますので、告知に対する患者さんやご家族の考えを良く聞いてみることが大事です。ただ一般的には、告知しないことのデメリットをうまく想定できないご家族さんが多いようです。告知しない場合は、病状が進んでつらい状況になったとき、患者さんは疑心暗鬼になり、ご家族や医療者に不信感を持つようになるケースが多いのです。また、情報が不足しているため過度に楽観的になり、結果的には残された貴重な時間を空費してしまうケースがよくあります。
ADL/QOL/PS
PS(Performance Statusパフォーマンスステータス)とは何ですか?
あまり聞かれない言葉ですが、一言でいうと患者さんの元気さの指標で,0~4の5段階に分類されます。手術や抗がん剤の選択時や治療後の経過を見るのに大事な指標になります。例えばPSが0~2の患者の場合、手術や抗がん剤の選択肢もあるが、PSが3~4の患者の場合、積極的治療に加えて症状緩和も重要になってきます。 PSは以下の0~4に分かれる。 0:まったく問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える。 1:肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行う ことができる。例:軽い家事、事務作業 2:歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。 3:限られた自分の身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。 4:まったく動けない。自分の身のまわりのことはまったくできない。完全にベッドか椅子で過ごす。 以上はECOG(米国の腫瘍学の団体の1つ)が決めた、Performance Status(PS)の日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)による日本語訳です。この規準は全身状態の指標であり、病気による局所症状で活動性が制限されている場合には、臨床的に判断することになっています。
(参照)
国立がん研究センターがん情報サービス・パフォーマンスステータスがんリハビリテーション
がんリハビリテーション(がんリハビリ)とは?
リハビリテーション(Rehabilitation)について、WHOは「障害(能力低下や社会的不利)及びそれにもたらす状態を改善し、障害者の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含んでいる。さらにリハビリテーションは障害者が環境に適応するための訓練を行うだけでなく、障害者の社会的統合を促すために全体としての環境や社会に手を加えることも目的とする。そして、障害者自身、家族、彼らが住んでいる地域社会が、リハビリテーションに関係するサービスの計画や実行に関わり合わなければならない。」と定義しています。 がんのリハビリテーションには、診断・治療・再発ないし転移などのそれぞれの病期に対応したリハビリの実践が求められます。サルコペニアやフレイルの予防の観点からも大切です。主治医などの医療関係者との相談し、「がん患者さんのためのホームエクササイズ動画集」や「ロコトレ」などを参考にしてください。 ただし、中皮腫については十分に研究がされているとは言い難い状況ですので、今後の研究の進展が期待されます。詳しくは、「中皮腫治療・療養におけるQOL(クオリティ・オブ・ライフ)とADL(アクティビティーズ・オブ・デイリー・リビング)の視点とリハビリテーションの役割」をご確認ください。
(参照)
がん患者さんのためのホームエクササイズ動画集 ロコトレ 中皮腫治療・療養におけるQOL(クオリティ・オブ・ライフ)とADL(アクティビティーズ・オブ・デイリー・リビング)の視点とリハビリテーションの役割 | 中皮腫サポートキャラバン隊 | 患者の体験 | 治療と治験 (みぎくりハウス)高額療養費/自由診療
自由診療(保険外診療)とは何ですか?
自由診療(保険外診療)とは、公的な医療保険(健康保険、労災保険など)が適用されない診療のこと。患者と医療機関との間での個別の診療となるので、費用の全額は自己負担となり、決められた金額の基準はありません。厚生労働省は保険外診療について先進医療との関係で以下の通りまとめています。
(参照)
保険診療と保険外診療の併用について(いわゆる「混合診療」について)(厚生労働省)先進医療/患者申出療養制度/がんゲノム医療
先進医療とは何ですか?
先進医療は保険適用されていない医療なので、医療費は全額自己負担となります。「高額療養費」などの対象にもなりません。それが2006年の健康保険法の改正により、厚生労働大臣から承認を受けた先進医療については、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用については保険適用となりました(保険診療と併用が可能)が、先進医療にかかる費用は全額自己負担です。また基準を満たした医療機関でなければ先進医療を行うことはできません。
(参照)
現在の承認を受けた先進医療(厚生労働省)先進医療の概要について(厚生労働省)がんゲノム医療/がん遺伝子パネル検査とは何ですか?
がんゲノム医療とは、主にがんの組織を用いて、多数の遺伝子を同時に調べ、遺伝子変異を明らかにすることにより、一人一人の体質や病状に合わせて治療などを行う医療です。「がん遺伝子パネル検査」とは多数の遺伝子を同時に調べる検査のことを言います。標準治療がないまたは終了したなどの条件を満たす場合に保険が適用されます。「がん遺伝子パネル検査」は、「がんゲノム医療中核拠点病院」、「がんゲノム医療拠点病院」、「がんゲノム医療連携病院」などで行われています。ただし、検査を受けても必ず治療法が見つかるわけではありません。
(参照)
がんゲノム医療もっと詳しく知りたい方へ(国立がん研究センターがん情報サービス)悪液質
悪液質とは何ですか?
がん悪液質は「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず,進行性の機能障害に至る,骨格筋量の持続的な減少(脂肪量減少の有無を問わない)を特徴とする多因子性の症候群」と定義されます。 平たく言えばつまり、ダイエットをしていないのに、がんがあることで体重が減り、筋肉も減少して歩けなくなる病態ということです。 がん悪液質は進行がん患者の80%に認められ,体重減少と食欲不振といった典型的な症状に加えて,化学療法の効果の減弱,副作用や治療中断の増加,さらには生存率にまで影響をおよぼす.がん患者における体重減少はその程度に応じて予後を悪化させるために、積極的な治療が必要である、とされます。 (参照)
がん悪疫質ハンドブック 生存率を左右する「がん悪液質」を克服するには(がん情報サイト・オンコロ)がん光免疫療法
がん光免疫療法とは何ですか?
光免疫療法は、がん細胞に特異的にくっついている抗体に、近赤外線を用いて化学反応を起こす「IR700」という物質をつけて体内に静脈注射を使って入れます。それが付着したがん細胞に近赤外線をあて、がん細胞を破壊します。世界に先駆けて、2020年9月25日に頭頸部がんの治療において治療で用いる「アキャルックス点滴静注250mg」(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム)の製造販売が承認されています。中皮腫においては、治験の実施などは現在のところ計画されていません。
(参照)
光免疫療法とは(関西医科大学光免疫研究所)インフルエンザワクチンの予防接種
トンデモ医療(とんでもクリニック)
免疫力について
免疫力とは何ですか。免疫力を上げると、がんが治ったり進行が遅くなるのでしょうか?
「免疫力」について、病理学やウイルス学、免疫学などの学問分野では使用されていません。学問的・科学的にこの言葉を定義しているものはありません。往々にして、健康食品やエビデンスに乏しいと考えられる治療を実施している医療機関などの宣伝に用いられています。そもそも「免疫」というのは、多数の細胞などのネットワークによって構成され、多様な機能を持つシステムを差すものであり、複雑に構成されているものです。免疫に対して、「力を持つ」という意味づけをするのは簡単ではありません。一部、医療関係者でも用いる方がいますが、治療法や健康食品などに免疫力が用いられている場合は十分に注意が必要です。
(参照)
峰宗太郎「『免疫力』という言葉が不適切な理由『トンデモ』健康情報に踊らされないために」丸山ワクチン
丸山ワクチンとは何ですか?
丸山ワクチンは1944年に皮膚結核の治療薬として誕生しました。1976年に承認申請がされましたが、1981年7月10日に厚生大臣の諮問機関である中央薬事審議会・抗悪性腫瘍調査会において、がん患者の生存期間の延長効果が認められず、「有効性を確認できない」とする旨の答申をしています。現在は「有償治験」として医師の承諾と患者の自己負担のもとに使用が認められています。2014年12月に日本、韓国、マレーシアなど7ヶ国で子宮頸がんに対する臨床試験が開始されています。研究は2021年末に完了予定です。なお、中皮腫においては有効性が確認されておらず、臨床試験の予定もありません。日本緩和医療学会が2008年に発行した「がん補完代替医療ガイドライン 第1版」では、「疼痛、悪心、倦怠感、便秘のような症状を軽減」、「不安、うつなどの精神症状を軽減」、「QOLを改善」、「何らかの望ましくない副作用を引き起こす」、「抗がん剤の副作用を軽減」、「がんの進行を抑制」、「生存を延長」などに関するCQ(Clinical question)全てにおいて、推奨グレードCの「行うよう進めるだけの根拠が明確でない」とされています。また、同学会の「がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス」では丸山ワクチンに関する記載はなく、新たな知見などの更新はされていません。また丸山ワクチンに効果がないと主張する医師が多くいる一方で、2008年ガイドライン作成者の一人である彦根市立病院・緩和ケア科の黒丸尊治医師は、「最後まであきらめずにがんばりたい」という想いを持つ患者さんの「心の治癒力」を提唱し、「独自の考え」として丸山ワクチンを含むいくつかの代替療法を緩和ケア病棟で取り入れています。
(参照)
Clinical Trials-gov 子宮頸がんを治療するためのZ-100plus放射線療法のランダム化研究丸山ワクチンとがんを考える会 丸山ワクチン(SSM)の研究概要彦根市立病院 緩和ケア病棟補完代替療法
補完代替療法とは何ですか?がんを治す補完代替療法はあるの?
補完療法(現在私たちが受けている西洋医学を補う、補完する治療)・代替療法(現代西洋医学に取って代わる、代替する治療)を掛け合わせたものでハーブ、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクス(発酵食品など)の健康食品やサプリメント、漢方、鍼灸、瞑想、ヨガ、マッサージ療法、運動療法、心理療法と心身療法などがあります。アロマオイルによって不安や吐き気の改善報告などもあります。 がんを治すという、科学的エビデンスのある補完代替療法はありません。
食事・サプリメント
サプリメント、健康食品とは?
ほとんどの人が知っている健康食品やサプリメントという言葉ですが、実はその用語に行政的な定義がありません。一般に、健康食品とは「健康の保持増進に資する食品全般」が、またサプリメントとは「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品」がそれぞれ該当すると考えられています。しかし、明確な定義がないため一般の消費者が認識している健康食品やサプリメントは、通常の食材から、菓子や飲料、医薬品と類似した錠剤・カプセルまで極めて多岐にわたります。ちなみに、米国ではDiet ary Supplement を「従来の食品・医薬品とは異なるカテゴリーの食品で、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ等の成分を含み、通常の食品と紛らわしくない形状(錠剤やカプセル等)のもの」と定義し、またヨーロッパでも同様のものを “Food supplement“と定義しています。広い意味で考えれば、サプリメントも健康食品の一つと考えることができます。
(参照)
厚生労働省 健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けてサプリメントを取る際の注意点は?
大前提として、大きな臨床試験でがんに対する効果がきちんと証明されたサプリメントはありません。「がんが消えた」「がんが治る」などのインチキなキャッチコピーに騙されないようにしましょう。親しい友人にサプリメントを紹介された時や、栄養補助としてサプリメントを取りたい時には、そのサプリメントの製造元や原材料等を確認して、必ず主治医や看護師、薬剤師と相談してください。サプリメントはあくまでも健康食品であって薬ではないことを忘れないようにしましょう。
(参照)
みぎくりハウス 中皮腫の治療〜抗がん剤・免疫療法・放射線・緩和医療 9.2 サプリメントの摂取患者力
患者力とは何ですか?
よく患者力という言葉が使われます。様々な定義、考え方がありますが、以下の福島県立医療大学白河総合診療アカデミー准教授 東光久氏の考えはポイントをついていると思います。「自分の病気を医療者任せにせず、自分事として受け止め、いろいろな知識を習得したり、医療者と十分なコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、人生を前向きに生きようとする患者の姿勢」このような力をみがき、前向きに治療に当たって、より良い生活の質を確保して自分らしい生き方を見つけることができればと考えます。また、「中皮腫サポートキャラバン隊」「中皮腫ポータルサイトみぎくりハウス」はこのような考え方、活動をサポートする組織です。ぜひ共に進んでいきましょう。 (参照)
福島県立医療大学白河総合診療アカデミー准教授 東光久氏談「患者力」はチーム医療につづくがん医療の柱:日経BPがんナビ(nikkeibp.co.jp)