ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が製品にアスベスト含有で自主回収 中皮腫や「卵巣がん」の石綿被害をめぐる訴訟にも影響か

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、製品サンプルから微量のアスベスト(クリソタイル(白石綿))が検出されたため、ベビーパウダーの一部を自主回収するとした報道がありました。

すでに同社はベビーパウダーの原料にアスベストが含有していたことで中皮腫を罹患した被害者に対して、オークランド州地裁陪審で約32億円の賠償義務を認定されています。ただ、直近では、「卵巣がん」を引き起こしたとして女性22人が告訴して2018年7月にミズーリ州巡回裁判所で陪審員が賠償を認めた裁判の控訴審が一審判決を覆しています。

「原料」というのはタルク(滑石)で、日本でもタルクに関連した労災認定事例が出ていることはこれまでにも紹介してきました。「【ベビーパウダー(タルク)による中皮腫の被害】日本では宝石加工業作業者や元看護師などが中皮腫発症で労災認定」。

世界保健機関(WHO)では世界疾病負荷(GBD)調査を発表しており、中皮腫や肺がん以外にも「卵巣がん」や「喉頭がん」の職業性ばく露についても被害者数の推計をしています。この推計に基づけば世界的にアスベストによって毎年、20万人以上の被害者が出ていることになります。

GGD2016によるアスベスト関連疾患死亡数推計(世界/日本) 出典:『安全センター情報』2017年12月号、p.5

今後、欧米諸国の訴訟動向が日本のアスベスト被害を取り巻く環境へ影響を与えてくることも考えられ、注視していく必要がありそうです。

目次

Bloomberg(2019年10月19日)「J&Jが「ベビーパウダー」自主回収 微量のアスベスト混入」

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-19/PZLVAJDWX2Q301?srnd=cojp-v2

みぎくりハウス:【ベビーパウダー(タルク)による中皮腫の被害】日本では宝石加工業作業者や元看護師などが中皮腫発症で労災認定

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