中皮腫治療における医師とのコミュニケーション【気持ちを伝える編】

私は希少がんである中皮腫という病気の中でも更に稀な腹膜中皮腫です。

現在、通院している病院においても腹膜中皮腫の患者は私しかいません。

私が腹膜中皮腫と診断された時の医師の態度は何か質問をしても「わからないから僕に聞かないで」という非常に冷たいものでした。

今では前例のない病気であり主治医もどうすれば良いのか分からなかったのだろうと思えるようになりましたが、この時の私は病気に対する不安と医師に対する不満で胸がいっぱい
でした。

以降も治療方針のすれ違いなどにより対立する機会が増えていき医師との関係は更に険悪なものになり医師を信じることすら出来なくなっていきました。

このような日々を繰り返していく間に【再発の疑いあり】と診断されました。

この時、私は【今後、自分の身に何かあった場合、この人に自分の命は預けられない。】と強く思いました。

私の考える良い医師とは敏腕な名医などではなく【患者の心に寄り添い最期は安心して命を預ける事ができる】医師です。

このような考えが頭をよぎる中で私は医師に対し一言だけ言葉を発しました。

それは

「先生、まだ死にたくないです。死ぬわけにはいかないんです。」

というものでした。

何故このような言葉が出たのか自分でも不思議ですが、この言葉を聞いた主治医は驚いた表情で

「わかりました。出来る事は全力でしていきましょう。」

と言って下さりました。

今ではこの言葉を信じ少しでもコミュニケーションの時間を持つため診察時間は午前の診察の一番最後と決めています。

なぜなら後ろにまだ患者さんがいたら時間が気になり、あまり話せないけど最後であれば時間を気にせずゆっくり話ができるから。

最近は中皮腫という病気についても理解を深めてくれわからないことがあれば調べてくれるなど私の相談役にもなってくれています。

病気になった時、一番大切なのは

【生きたい】

という自分の気持ちを素直に伝える事だと思います。

私達、患者は患者である前に一人の人間です。

医師も同じように医師である前に一人の人間です。

本音でぶつかっていけば医師の心を動かすことも出来る。
そう思える出来事でした。