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医師や看護師等とのコミュニケーションについて
より良い治療を受けるためには医師や看護師などの医療従事者と良好な関係を築くことが重要です。しかし医療従事者も人間であり、患者さんやその御家族の方とはどうしても相性が発生してしまうのも事実です。
そこで医師や看護師などの医療従事者の役割を学んで、だれに・どのような相談を行うべきか考えてみましょう。
医師
医師法では「医師は医療および保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上および増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」と明記されています。中皮腫の診療においての医師とは「中皮腫の診療を行う医師」「画像診断を行う医師」「病理診断を行う医師」等の様々な診療科が関わっている状況です。
そのために中皮腫の確定診断を行う場合でも1つの診療科の医師が判断する訳ではなく、各診療科の医師の診断結果をもとに判断するため、確定診断の期間を要することや臨床的(症状的)には中皮腫と判断しても確定診断ができないこともあります。
そのような複数の医師が関わる状況ですが、患者さんやその御家族の方の関わる機会が多いのは、やはり「中皮腫の診療を行う医師」になります。主に病気の進行の程度を判断して、治療方針・処方内容・検査内容・手術の判断などを行うので、それに関連した質問や相談(病気の進行の程度・行える治療・副作用・予後など)を中心に行うことが適していると言えます。
しかし診療を行う医師は1日100名以上の患者さんの診療を行うことや外来や入院や当直だけでなく、所属している医療機関以外の場所でも診療を行ったり、病院運営にて会議に出席したりすることもあるために、時間に余裕がないことが多い状況です。
医師の役割は患者さんの病気の治療を行うことがメインになりますが、それ以外の仕事もあることを患者さんやその御家族の方も理解した上で、短時間でどのような内容や方法であれば「医師からより良い情報を得ることができるのか」「相談ができるのか」を考えることも必要になります。
看護師
看護師は「科学的な知識や技術をもちいて、人々の健康を守り、豊かな生活が送れるよう支援をする仕事」になります。患者さんやその御家族の方は外来診察もしくは入院中に関わる機会が多いかと思われます。
看護師は医師の診療の補助というイメージが強いですが、患者さんの療養中のケア・心理的な不安・他の医療従事者との仲介などの多様な役割を担っています。また地域でも訪問看護などの在宅ケアにおいて重要な役割を担っています。
最近では認定看護師や専門看護師という特定の看護分野において日本看護協会が認定した、熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護実践のできる看護師を配置している医療機関も増えています。中皮腫で関わる機会があるのは「がん化学療法看護」「がん性疼痛看護」「緩和ケア」「がん放射線療法看護」などが挙げられます。また医療機関の退院支援部門やがん相談支援センターにも看護師が配置されていることもあり、療養上で利用できる社会資源・サービスの紹介や調整の相談ができます。
もし療養中の過ごし方や注意事項で質問や相談があれば医師だけでなく、看護師にも相談することをお勧めします。
理学療法士・作業療法士など
理学療法士とはケガや病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対して、基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法(温熱、電気等の物理的手段を治療目的に利用するもの)などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する医学的リハビリテーションの専門職で、作業療法士とは入浴や食事など日常生活の動作や、手工芸、園芸及びレクリエーションまであらゆる作業活動を通して、身体と心のリハビリテーションを行う専門職です。
中皮腫では手術後や病気の進行に伴って低下した身体機能を回復・維持する目的などでリハビリテーションを行うことが多いです。また身体機能に対してのリハビリテーションだけでなく、療養に当たって必要な福祉用具(歩行器・介護用ベッドなど)の選定や住宅改修(手すり・スロープの設置など)の助言なども行ってくれます。
また地域でも訪問リハビリテーションなどの在宅ケアとして利用することもできます。
ソーシャルワーカー(MSW)
社会福祉の立場から、患者さんやその御家族の方の抱える心理・社会的な問題の解決・調整を援助して社会復帰の促進を図る専門職です。中皮腫においては「労災保険や石綿健康被害救済制度の申請手続き」「ホスピス(緩和ケア)病棟の入院」「介護保険制度や身体障害者手帳などの社会保障制度の利用」のときに関わる機会が多いですが、その他にも「仕事の休職・退職・復職」「在宅で利用できる社会資源」「受診や受療方法」「家族関係の変化や関わり」「医師とのコミュニケーション」などの相談や調整の役割を担っています。
医学・医療に視点を置いた他の医療従事者と異なり、患者さんやその御家族の方の生活面に視点を置いた相談窓口として利用することができます。